ハローワーク(別名:公共職業安定所)は就職の支援や雇用の促進を担う公的機関で、国が無償で行う雇用のセーフティネットの中心的役割を担っています。
ハローワークでは求人の閲覧や職業紹介を受けることが出来るだけではなく、無料でキャリアコンサルティングを受けることも可能となっています。
本記事では、ハローワークのキャリアコンサルティングについてメリットや注意点などを詳しく解説していきます。
ハローワークとは
前述の通り、ハローワークは雇用のセーフティネットの役割を持っており、厚生労働省管轄の公的機関です。
ハローワークは全国に544か所設置されており、自治体や雇用対策協会と連動することで地域に根差した就職や雇用の支援を行っています。
ハローワークでは、無料の職業紹介を受けられるだけではなく、失業手当をはじめとした各種雇用保険関連の手続きを行うことも出来ます。
参照:厚生労働省「公共職業安定所(ハローワーク)の主な取り組みと実績」
ハローワークの役割
ハローワークは主に「職業紹介「雇用保険」「雇用対策(企業指導・支援)」の3つの業務をメインに行っています。
ハローワークの主な業務
- 職業紹介
- 雇用保険・求職者支援
- 雇用対策
上記の3つの業務をハローワークで実施することで、障碍者や生活保護受給者や外国人などの「就職困難者」と深刻な人材不足の「中小零細企業」の支援を効果的に行うことが可能となっています。
ハローワークは転職活動に支援を求めている求職者と、求人に費用をそこまでかけられない中小企業を繋ぐ役割を担っており、雇用・労働のインフラとしての機能を持っています。
キャリアコンサルティングとは
キャリアコンサルティングとは、職業選択や将来のキャリア設計、スキルアップに関する相談に乗り、必要なアドバイスや指導を行うことを指します。
「キャリアコンサルティング」といわれるとなじみがない言葉だと思いますが、私は「キャリアの健康診断」のようなものだと考えています。
健康を保つために毎年健康診断をうけるように、仕事や将来設計にモヤモヤや不安を抱えている際には、キャリアコンサルティングを受けて自身の方向性を整理するとよいでしょう。
ハローワークでは無料のキャリアコンサルティングを受けることが可能なので、「現状の課題を整理したい」「これまでに経験の棚卸をしたい」と考えている人は、是非利用してみるとよいでしょう。
キャリアコンサルタントはキャリアの専門家
キャリアコンサルティングを行う専門家として「キャリアコンサルタント」という国家資格があります。
キャリアコンサルタントはキャリアコンサルティングの専門家で、ハローワークだけでは無く、企業や学校の就職相談室、人材紹介会社や派遣会社等で幅広く活躍しています。
ハローワークでキャリアコンサルティングを受ける場合も有資格者が担当してくれるケースが多く、専門的な助言を受けられることが期待できます。
ハローワークのキャリアコンサルティングについて
ハローワークでは「どのような仕事・職業を選べばいいか分からない」と考えている人に向けて、キャリアコンサルティングを通して様々なアドバイスを行っています。
そのため、以下のように考えている人はキャリアコンサルティングを受けるとよいでしょう。
- 自分に向いている仕事が分からない
- 安定した仕事に就きたいけどどうすればいいかな?
- 応募したい求人が見つからない
- 働きたいけど面接で採用されない
キャリアコンサルティングは、これまでの経験の棚卸を行うことで、自身の強みや得意領域を再発見することが可能です。
そのため、「自分に向いている求人が分からない」と考えている人はキャリアコンサルティングを受けて、就職活動の方針をしっかり練るのが良いでしょう。
ハローワークでキャリアコンサルティングを受けるメリット
キャリアコンサルティングはハローワーク以外でも受けることが可能です。
ただし、ハローワークのキャリアコンサルティングならではのメリットとして以下の2つが挙げられます。
ハローワークのキャリアコンサルティングのメリット
- 無料で受けられる
- 専門実践教育訓練給付金の需給がスムーズ
以下に詳しく解説していきます。
無料で受けられる
ハローワークのキャリアコンサルティングは基本に無料で受けられます。
通常のキャリアコンサルティングは「キャリアコンサルタント」に依頼をして相談料を支払って行うのが一般的ですが、ハローワークでは無料で利用できるのがメリットのひとつです。
ただし、ハローワークで受けられるキャリアコンサルティングと、有料のキャリア相談サービスでは強みやターゲットも異なっています。
そのため、本気でキャリア相談を行いたい人であれば有料のキャリアコンサルティングを検討するのもオススメといえます。
専門実践教育訓練給付金の受給がスムーズ
専門実践教育訓練給付金等を受給する際には、「訓練前キャリアコンサルティング」を受ける必要があります。
訓練前キャリアコンサルティングを行う際には、ハローワークの窓口経由で委託業者へ予約を行う流れが一般的です。
教育訓練給付の手続きもハローワークで行うため、ハローワークで訓練前キャリアコンサルティングを受けることで、スムーズに手続きを行うことが可能になります。
ハローワークのキャリアコンサルティングの流れ
ここでは、専門実践教育訓練給付金の支給のために「訓練前キャリアコンサルティング」を受ける場合について、簡単な流れをご紹介いたします。
- 申し込みキャリアコンサルティングに申し込む
※最寄りのハローワークへ問い合わせ
- キャリアコンサルティングを受ける自己理解や仕事理解を深める
- これまでの経験の棚卸s
- 興味関心、適正の明確化
- 労働市場の情報提供
- 企業や職業の情報提供
- 方向性の決定キャリアプランを作成し方向性を決める
- 方策の実行計画(方策)を実行
キャリアプランに沿って計画を実施。就職活動中の人は計画に沿って求人選定、求人応募、面接の実施。
- 新たな職場へ就職就職
上記はあくまで一般的なキャリアコンサルティングの流れになります。キャリアコンサルティングを受ける際の状況によって内容は変わりますので、ご注意ください。
また、キャリアコンサルティングは実施する「キャリアコンサルタント」との相性や技量によって、内容が変わることがあります。
ですが、ハローワークでは事前に相談するキャリアコンサルタントを選ぶことが難しいケースも有るようです。
「真剣に将来のキャリアプランについて悩んでいる」という人であれば、有料のキャリア相談サービスを利用するのも良いかもしれません。
ジョブ・カード制度について
ジョブ・カード制度とは、「生涯を通じたキャリア・プランニング」や「スキルの証明」のためのツールとして「ジョブ・カード」を使用して、キャリアコンサルティングや就職・転職活動等のケースにおいて活用する制度です。
専門実践教育訓練給付金の需給を受ける際には作成が必須となるジョブ・カードですが、給付金の受給以外にも自身のキャリアプランを検討するうえで非常に役立つツールとなっています。
厚生労働省管轄の「キャリア形成・学び直し支援センター」では無料でジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを受けることが出来る(原則1回のみ)ので、興味がある人は活用してみるとよいでしょう。
ハローワークは専門的な窓口を多数設置
ハローワークには実は専門分野ごとに様々な種類があります。
相談できる内容や強みも異なっているため、ハローワークに相談に行く際には、「どこのハローワークに行けばよいか」を必ず確認しておきましょう。
以下は代表的なハローワークの一覧と特徴のまとめです。
種類 | 相談可能な内容・特徴 |
公共職業安定所 | 一般的なハローワーク 求人の紹介や給付金の手続きが可能 |
マザーズハローワーク | 子育て中の女性等に対する就職支援を実施 キッズコーナーなどがあるのが特徴 |
地方就職支援コーナー | Uターン就職・Iターン就職専門の窓口 |
新卒応援ハローワーク | 新卒支援に特化したハローワーク 学校との連携アリ 就職支援ナビゲーターがきめ細やかなサポート 全国56か所 |
わかものハローワーク | フリーターなどの非正規雇用者の正社員就職の拠点となるハローワーク |
外国人雇用サービスセンター | 留学生や専門的・技術的分野の外国人に対する就職サポートを実施。 |
上記のように、ひとことで「ハローワーク」といっても専門分野によって利用すべき機関が変わるので、注意が必要です。
また、地域によっては上記の専門的な相談が可能なハローワークが無い場合も有るので、しっかり調べたうえで利用するのがオススメです。
ハローワーク以外でキャリア相談したい場合は?
ハローワークのキャリアコンサルティングは無料で受けられるというメリットがありますが、その反面、以下のようなデメリットも存在しています。
- キャリアコンサルタントの指名が出来ない
- キャリア相談に対する評価(レビューなどの評判)が確認できない
そのため、より質の高いキャリアコンサルティングを受けたい場合は、自身と相性の良いキャリアコンサルタントを選びたい場合は、ハローワーク以外の利用も検討してみるとよいでしょう。
以下の記事でおすすめのキャリア相談サービスについて解説していますので、興味がある人は是非ご確認ください。
ハローワークのキャリアコンサルティングまとめ
ハローワークでは専門家によるキャリアコンサルティングが「無料」で受けられるため、相談したい人は積極的に買う超するとよいでしょう。
「若者向け」「Uターン就職支援」等専門性に特化した窓口があるため、自身の相談したい内容に合わせたハローワークを利用しましょう。
ただし、より自分自身と相性の良いキャリアコンサルタントを選んで相談したい場合は、ハローワーク以外の選択肢も検討する必要があるため、状況に合わせて利用するサービスを選択していきましょう。