キャリアコンサルタントは2016年に国家資格化され、人材紹介・人材派遣会社だけでなく、企業の人事部門、大学のキャリアセンター、公的就業支援機関等、幅広い分野で活躍が期待されています。
ですが、苦労して資格をとっても、「キャリアコンサルタントとしての仕事・求人がない」「取得しても役に立たない」という話も耳にします。
実際のところ、キャリアコンサルタント資格は取得する意味があるのでしょうか?
本記事ではキャリアコンサルタントの求人や仕事内容について解説していきます。
キャリアコンサルタントとは
キャリアコンサルタントはキャリアコンサルティングを行う専門家で、国家資格を保持している人のみが「キャリアコンサルタント」を名乗ることが出来ます。
キャリアコンサルティングは、以下のように定義付けられています。
国の政策で2024年度末までにはキャリアコンサルタントの養成数を10万人まで増やす計画が打ち出されており、社会や雇用情勢の変化に伴って働き方も目まぐるしく変わるなかで、労働者が変化に対応するための支援の役割が期待されています。
また、キャリアコンサルタントは名称独占資格の国家資格のため、資格取得と登録をした人だけがキャリアコンサルタントを名乗ることが出来ます。
キャリアコンサルタントになるには?
キャリアコンサルタントになるには、国家試験に合格をした上で、キャリアコンサルタント名簿に登録を行う必要が有ります。
受験資格さえ満たせば、キャリアコンサルタントとしての実務が未経験でも資格試験に挑戦することが出来ます。
キャリアコンサルタントの試験を受けるための受験資格は、主に下記の2種類です。
上記のいずれかを満たしていればキャリアコンサルタント国家試験を受けることができるため、未経験でも挑戦できる資格となっています。
養成講座を修了して受験をするにとがもっとも多く、第18回試験の学科試験では約90.6%(4,652人中4,218人)が「養成講座修了」の受験資格で試験に臨んでいます。
キャリアコンサルタント資格取得の難易度
では、キャリアコンサルタント資格の取得難易度は高いのでしょうか?
結論からお伝えすると、キャリアコンサルタント資格の取得難易度は高くなく、働きながら資格取得を目指すことが可能な資格となっています。
平均合格率が50%台の上、1度合格した科目は次回試験が免除となる科目合格の制度もあるので、キャリアコンサルタントの取得は比較的容易といえます。
ただし、学科試験(筆記試験)は希に難問回があり、その際は極端に難易度が上がります。
(第4回試験の合格率は21.3%、第9回試験の合格率は30.5%と極端に低い)
そのため、確実に合格を目指すためには、養成講座に通った上でしっかりと対策を行う必要が有ります。
また、キャリアコンサルタントは資格をとったら終わりではなく、5年毎に更新を行う必要が有ります。
更新のためには、以下の講習を受ける必要があり、資格取得後も学び続けることが求められる資格です。
- 知識講習: 8時間以上
- 技能講習:30時間以上
そのため、キャリアコンサルタントの資格取得は容易だが、資格や自身のスキルの維持は決して楽ではないといえます。
キャリアコンサルタントの求人の現状
人気のキャリアコンサルタント資格ですが、実は「キャリアコンサルティング」を専門に行う求人はとても少ないのが現状です。
キャリアコンサルティングを行う求人として代表的なものは、「公的就業支援機関(ハローワーク等)や大学のキャリアセンター等の求人が有りますが、求人検索サイトで検索をしても、仕事の数は多く有りません。
「キャリアコンサルティング」のみを行う求人は少ないのが現状ですが、キャリアコンサルタント資格はキャリアコンサルティングのみではなく、「人材紹介会社での職業紹介業務」でとても重宝される資格です。
人材紹介会社の求人は「キャリアアドバイザー」という名称で求人が出ていることが多いので、もし資格をいかして働きたい場合には、候補にいれると良いでしょう。
また、キャリコンサルタント資格を取得することで、副業でキャリア支援の仕事を行うことも可能になrため、国家資格を取得することで仕事にむずびつけることは十分可能だといえるでしょう。
キャリアコンサルタントの資格を取っても、仕事を探す上では意味がないと言われることがありますが、そんなことはありません。
では、なぜ「キャリコンは仕事がない」と言われるのでしょうか?
キャリアコンサルタントの求人が少ない理由
資格取得に養成講座修了や資格試験合格が必要と高いハードルがあり、幅広い活躍のフィールドがあるキャリアコンサルタントが、「求人が無い」と言われるのは何故でしょうか?
求人が少ない理由1:キャリアコンサルタントは業務独占資格ではない
キャリアコンサルタントは、先述したように「名称独占」の資格です。
ですが、名称独占資格出はあるものの、「業務独占」の資格ではありません。これはどう言うことでしょうか。
簡単にいうと、「業務独占資格ではない」ということは、キャリアコンサルタントの資格を持っていなくても、キャリアコンサルティング関連の業務が出来るということです。
大学のキャリアセンターや人材紹介・人材派遣会社の仕事は、法律上キャリアコンサルタントの資格は必須ではなく、無資格でも求人に応募できる場合が多いのです。
もちろん、質を高めるためにキャリアコンサルタントの資格を保持していることを応募条件としている求人も中にはありますが、資格を持っていなくても求人に応募できるのが一般的です。
「キャリアコンサルタントの資格があっても求人がない」「キャリコン資格は役に立たない」と言われるのはそのためだと思われます。
その反面、職業紹介を通してキャリア相談を行う「人材紹介会社」等は資格が不要なだけでなく、人材計業務が未経験の人も積極的に採用している傾向があるようです。
「資格がないと出来ない」という仕事が少ないということは悪いことばかりではなく、ポジティブに言い換えれば「誰でも挑戦できる業界」と言えるかもしれません。
求人が少ない理由2:キャリアコンサルタントの認知度が低い
また、キャリアコンサルティングという資格自体の認知度も低く、政府が導入を促進している「セルフ・キャリアドック」や企業向けキャリアコンサルティングもいまだ普及の途上です。
「キャリアコンサルティングを受けたい人」のニーズが顕在化していないことも「キャリアコンサルタントは仕事(求人)が無い」と考えられている要因の1つです。
キャリアコンサルタントの活動状況
キャリアコンサルタントの現在の活動状況はどうなっているのでしょうか?
労働政策研究所の調査では、キャリアコンサルティングに関連する活動を「ほぼ毎日活動している」と回答した人は31.9%に対し、「活動していない」と回答した人も20.3%もいるという結果になりました。
活動状況 | 回答率 |
---|---|
ほぼ毎日活動している | 31.9% |
週2~3回程度活動している | 13.3% |
週1回程度活動している | 6.4% |
不定期に活動している | 28.2% |
活動していない | 20.3% |
また、現在はキャリアコンサルティングの活動をしていない人のうち約20.1%が、活動していない理由を「周囲にキャリアコンサルティングの仕事(ニーズ)が無い」と回答しています。
しかし、最近の調査では「企業領域における活動の活発化」「兼業キャリアコンサルタントの割合の増加」が起きていることが分かっており、キャリアコンサルタントのニーズそのものは買う大傾向であると思われます。
キャリアコンサルタントの年収
キャリアコンサルタント資格を持っている人の年収について、「キャリアコンサルタント登録者の活動状況に関する調査」のなかで、下記の調査結果が出ています。
この調査結果を見ると、「200~400万円未満」がもっとも多く33.2%を占めており、次いで「400~600万円未満」が21.5%となりました。
この調査ではフルタイムかパートタイムか等の働き方を問わず、かつ「キャリアコンサルティング以外の収入を含む」という数字になっています。
そのため、これだけでキャリアコンサルタントの収入が高いか否かを判断することは出来ませんが、しかし、200~600万円がボリュームゾーンとなっていることと、1000万円を越える収入を得ている資格保持者が約7.9%いることから、実力次第では大きく稼ぐことも可能な資格といえます。
人材紹介会社(転職エージェント)によっては、キャリアアドバイザーとよばれる求職者対応を行う職種の給与は、成果(売り上げ)によって決まる会社も有ります。
そのため、キャリアコンサルタントとして学んだことを活かして成果をあげれば、年収1000万円プレイヤーも夢ではありません。しかし、成果を上げていくためにキャリアコンサルタントの資格が必須というわけではありません。
キャリアコンサルタントは名称独占であるものの、業務独占の資格ではないため、資格の取得が収入に直結するわけではなく、高い収入を得ていくためには他とは違った差別化や工夫をしていく必要が有ると言えます。
まとめ:キャリアコンサルタントの求人は少ないのか?
結論として、キャリアコンサルタントの資格を持っていないとできない仕事(求人)はとても少ないです。
求人が少ない理由としては、以下が主な要因として考えられます。
キャリアコンサルタントの求人が少ない理由
- キャリアコンサルタント資格が業務独占資格では無いこと
- キャリアコンサルティングの認知度(知名度)が低いこと
ですが、その反面「キャリアコンサルタント資格がいかせる分野」はとても幅広く、先述した人材紹介会社・人材派遣会社や教育機関、人事部門だけでなく、マネジメントや組織作りにも活かせる資格です。
また、キャリアコンサルタントと相談したい方を結びつけるサービスも普及しつつあるので、これからはキャリアコンサルタントの需要も伸びてくると予想されます。
もし資格取得に悩んでいるのであれば、一度キャリアコンサルタント養成講座の資料などを請求してみましょう!