キャリアコンサルタントの試験団体はどちらを選ぶべき?JCDAとキャリコン協議会の違いを解説!

試験勉強イメージ キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタント資格を取得するには、国家試験に合格する必要があります。その際、試験を実施する機関は厚生労働大臣が登録する下記の2団体のどちらかで行うことになります。

  • 日本キャリア開発協会(JCDA) 
  • キャリアコンサルティング協議会

キャリアコンサルタント試験を受けようと考えている方の中には、「どちらの団体で受験すれば良いか分からない」と考えている方も多いようです。

結論を先にお伝えすると、試験機関選びはそこまで神経質になる必要はありません。ですが、2つの団体で試験内容に違いがあることも事実です。

本記事では、2つの試験団体の違いや合格率、団体を選ぶ際のポイントについて解説していきます。

合格率が分かるオススメ養成講座の一覧はコチラ

キャリアコンサルタント試験を実施する2つの団体の特徴

前述したように、キャリアコンサルタント試験は日本キャリア開発協会(JCDA)とキャリアコンサルティング協会の2つの団体で実施されています。

まず最初に、JCDAとキャリアコンサルティング協議会の違いについて解説していきます。

日本キャリア開発協会(JCDA)の特徴

JCDAメッセージムービー(2022)

日本キャリア開発協会(以下JCDA)は、2000年2月に発足された団体で、現在は約2万人の会員を擁するNPOです。設立から一貫して「キャリアカウンセリング機能を社会システムとして具現化する」というビジョンのもとに活動しており、キャリアコンサルタントが国家資格化される以前からキャリアカウンセラーとしての資格であるCDA資格を発行してきた団体です。

「キャリアカウンセラーとの対話を通して、人生をよりよく、豊かにしていただきたい」という想いの下でキャリアカウンセリングの普及を行っているのが特徴の一つです。

参照:日本キャリア開発協会

キャリアコンサルティング協議会の特徴

キャリアコンサルティング協議会は前身の「キャリアコンサルタント養成講座・能力評価試験実施団体連絡協議会」が2004年3月に設立され、キャリアコンサルタント育成とキャリアコンサルティングの普及を行ってきた団体です。

キャリアコンサルタントが国家資格化されたのち、2017年に現在の「特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会」に名称変更されました。

キャリアコンサルティングが社会インフラとなることを目指しており、上位資格であるキャリアコンサルティング技能士等の唯一の試験実施機関であることが特徴です。

試験内容の共通点と違いについて

それでは、JCDAとキャリアコンサルティング協議会では試験団体に違いはあるのでしょうか?

キャリアコンサルタント国家試験の科目である「学科試験」「実技試験(論述)」「実技試験(ロープレ)」のそれぞれについて解説していきます。

学科試験に違いは無い

まず最初にお伝えすると、筆記試験である学科試験はどちらの団体も同じ内容で、難易度は一切違いがありません。

そのため、試験機関を選ぶ際、学科試験については特に考慮すべきことはありません。

実技試験(論述試験)について

キャリアコンサルタントの実技試験の一つである「論述試験」は、相談場面の逐語録を読んだうえで解答を行う筆記試験です。JCDAとキャリアコンサルティング協議会で試験問題が違っており、特徴を解説します。

参照:JCDA「キャリアコンサルタント試験過去問題」
参照:キャリアコンサルティング協議会「キャリアコンサルタント試験過去問題」

論述試験の共通点

両団体で共通する要素として、「クライアント(相談者)の抱える問題の把握」「自分だったらどのようにキャリアコンサルティングを進めるか」の2つが求められる点です。

論述試験の相違点

論述試験の違いとして最も大きなものとして、事例の提示方法の違いがあります。JCDAではキャリアコンサルティング協議会と違い、相談事例が途中から(Ⅰ)(Ⅱ)の2パターンに分化しており、キャリアコンサルタントの対応の違いで展開が変わった2つのパターンを提示されます。

そのうえで、それぞれ「どういった理由でよかったか」「どこが良くなかったのか」を解答する試験内容となっています。

また、JCDAの試験では指定された語句を使用して回答を求める問題もあるため、合格点をとるには過去問などを繰り返して問題形式になれる必要があります。

実技試験(面接試験)について

実技試験の一つである「面接試験」は、受験者がキャリアコンサルタント役となり、実際のキャリアコンサルティングの相談場面を想定して行るロールプレイの試験です。

「面談開始から最初の15分」という設定でロールプレイを行い、その後5分間の口頭試問で試験管からの質問に答える、という試験となっています。

面接試験の共通点

面接試験の出題形式はJCDAでもキャリアコンサルティング協議会でもほぼ同じで、以下のようになっています。

ロールプレイ
・ロールプレイは実際のキャリアコンサルティング場面を想定して、面談開始から最初の15分間という設定で行う。 ロールプレイでは、キャリアコンサルタントとして相談者を尊重する態度や姿勢(身だしなみを含む)で、相談者との関係を築き、問題を捉え、面談を通じて相談者が自分に気づき、成長するような応答、プロセスを心がける
・受験者がキャリアコンサルタント役となり、キャリアコンサルティングを行う

口頭試問
・自らのキャリアコンサルティングについて試験官からの質問に答える

参照:日本キャリア開発協会「試験要項」

また、実技試験全体の合格基準も両団体で同じで、「150点満点で90点以上の得点」が合格ラインとなっています。

面接試験の相違点

一般的に「実技ロールプレイ試験」と呼ばれる面接試験では、試験実施団体で「評価項目」に違いがあります。それぞれの評価項目は以下の通りです。

試験実施団体ごとの評価項目

・JCDA:「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」

・キャリアコンサルティング協議会:「態度」「展開」「自己評価」

実技試験における合格基準は両団体ともに「150点満点中90点」となっていますが、合格には上記の評価項目ごとに満点の40%以上の得点が必須となります。

実技試験全体の得点が90点以上でも、上記の評価項目のどれか一つでも40%を下回っていれば不合格になるので、この評価項目の違いこそが試験団体における最大の違いになると言えます。

JCDAは「傾聴」が重要になるとよく言われていますが、この評価項目の違いが影響しているのではないかと考えられます。

受験料に違いは無い

ちなみに、受験料金についてはどちらの試験機関で受験しても違いは無く、学科試験は8,900円、実技試験は29,900円となっており、計38,800円となっています。

試験団体の違いによる難易度の違いはあるのか?

ここまで試験団体ごとの試験内容の相違点を解説してきましたが、難易度・合格率に違いはあるのでしょうか?

以下の表に最近の合格率についてまとめていますので見ていきましょう。

第18回~24回試験の合格率について

JCDA(日本キャリア開発協会)キャリアコンサルティング協議会
第18回試験の合格率54.6%64.0%
第19回試験の合格率52.5%46.1%
第20回試験の合格率60.7%51.0%
第21回試験の合格率52.2%43.9%
第22回試験の合格率59.3%59.3%
第23回試験の合格率59.8%61.2%
第24回試験の合格率53.0%51.6%
学科、実技試験同時受験者の合格率

第18回試験はキャリアコンサルティング協議会で受験した方の方が合格率が高く、第19回・20回試験ではJCDAの方が合格率が高くなっています。また、第22回試験では両団体の合格率が同じという結果になっています。

これを見ると分かるように、試験回ごとに合格率に差は出るものの「どちらかの団体で受けた方が合格やすいということは無い」ということが分かります。

合格率の差は、むしろ養成講座を受けるスクール選びの方が大きく影響する可能性があります。これから養成講座を選ぶ方は、下記の記事で主要なスクールの合格率と受講料をまとめておりますので、是非ご参照ください。

実務経験が3年未満の方は、キャリコン試験を受けるために養成講座修了が必須となりますので、是非ご自身に合っている学校を選んでいただけると幸いです。

▽キャリアコンサルタント試験の受験資格などはコチラ

キャリコン養成講座を選ぶ際の注意点

大半のキャリアコンサルタント養成講座は「JCDA」「キャリアコンサルティング協議会」どちらの試験形式にも対応しています。

ですが、スクールによってはどちらかに特化している場合もので、キャリコン養成講座選びの際には注意が必要です。

自身が受験したい試験団体が特に決まっていない場合は、「受講したいスクール」を先に決めて、養成講座の受講を通してどちらの団体で受験するかを決めるとよいでしょう。

結局、どちらの試験団体を選べばいいの?

JCDAとキャリアコンサルティング協議会におけるキャリアコンサルタント試験の違いについて解説してきましたが、改めて結論をお伝えすると、試験団体選びはそこまで神経質になる必要はありません。

自身が受験する際の合格率はどちらが高くなるのか事前につかむことは出来ません。そのため、論述試験の過去問を実際に解いてみて、自分自身に合っている方の試験機関を選ぶのがオススメです。

キャリアコンサルタント試験は年に3回も受験の機会があるうえ、難易度もそこまで高くないので真剣に学習すれば確実に合格することはそこまで難しくありません。

ただ、少しでも合格率を上げられるような学習をしたければ、「自分に合っている養成講座を選ぶ」というのが選択肢として考えられます。以下の記事で、各スクールの合格率や特徴、受講料をまとめているので、興味がある方は是非ご覧ください。

この記事の筆者
キャリアコンサルタント
パオ助

介護業界専門の転職エージェントで両面型担当者として勤務後、今はマーケティングとキャリアコンサルタントを両立中。
キャリアコンサルタントとして、人材業界や介護業界についての情報を発信中!転職エージェントや人材派遣会社で勤めている方々全員に「キャリアコンサルタント」の資格を取得してもらうのが夢。
資格取得の難易度や、おすすめのキャリアコンサルタント養成講座の情報等を発信していきます!
Twitterでは緩めの発信をしているので、よければフォローしてください。
 
【保持資格】
・独学で国家資格キャリアコンサルタント1発合格!
・2級キャリアコンサルティング技能士も独学で合格。
・その他保持資格:衛生管理者、個人情報保護士
 
【好きなカウンセリング技法】
・来談者中心カウンセリング
(パーソンセンタード・アプローチ)
 
記事監修の実績はコチラ

パオ助をフォローする
キャリアコンサルタント
シェアする