企業の人事部門やHR業界で働く方や、人材紹介・人材派遣会社等の人材業界で働く方は「キャリアアップしたい」「スキルアップしたい」と考えた際に、何を学べば良いか分からないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、HR業界や人材業界で働く方が取るべき資格と特徴をご紹介していきます。
HR業界・人材業界取るべき資格を一覧で比較!
下記にHR業界・人材業界の方に特にオススメの資格について、「資格の分類」「費用」「資格取得難易度」について一覧表で比較していきます。
資格名称 | 資格分類 | 費用 | 取得難易度 |
キャリアコンサルタント | 国家資格 | 受験手数料:38,800円 講座:30万円~50万円 | 中 |
衛生管理者 | 国家資格 | 受験手数料:6,800円 | 低 |
社会保険労務士 | 国家資格 | 受験手数料:15,000円 講座:5万円~30万円 | 高 |
メンタルヘルスマネジメント検定 | 公的資格 | 受験料:5,280円~11,550円 | 低~中 |
個人情報保護士 | 民間資格 | 受験料:11,000円 | 低 |
今回ご紹介する資格5つのうち3つは「国家資格」となっています。国家資格と聞くと難しく感じる方もいると思いますが、どの資格も会社員として働きながら取得を目指す方が大半のため、興味がある資格であれば、是非挑戦してみましょう!
キャリアコンサルタント
まず最初に紹介するのは「キャリアコンサルタント」です。キャリアコンサルタントは2016年に国家資格化した資格で、名称独占の資格となっています。
参照:厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」
キャリアコンサルタントは人事HR業界で働く方に最もオススメの資格で、は能力開発やキャリア相談を行う専門家です。
資格取得を通してキャリア理論やカウンセリング技法を習得できるため、人事で働く方であれば、従業員のキャリア相談に乗りつつ制度設計を行うための知識を身につけることが期待できます。
また、人材紹介会社や人材派遣会社で働く人であれば、求職者(候補者)との面談で大いに役立つ知識をスキルを得られるでしょう。
キャリアコンサルタント資格の取得難易度は?
キャリアコンサルタント資格の取得難易度はそこまで高くありません。
合格率は概ね50%以上で推移している上に、もし万が一不合格になっても、年に3回受験の機会があるので再挑戦もしやすい資格となっています。
▽キャリアコンサルタントの難易度については下記記事で詳しく解説
資格取得に必要な費用
キャリアコンサルタントの資格受験に必要な費用は合計38,800円です(学科試験:8,900円+実技試験:29,900円)。
ただし、キャリアコンサルタントの実務経験が3年未満の方は「キャリアコンサルタント養成講座」に通う必要があり、この養成講座の受講は30~50万円程度の費用が必要になるため注意が必要です。
また、養成講座はどのスクールを選ぶかで費用だけでなく合格率も差があるので、養成講座に通う際には受講料以外の要素もしっかり検討するのがオススメです。
衛生管理者
衛生管理者は労働安全衛生法により定められた国家資格で、主な役割は労働者の労働者の健康を守り労働災害を防止することです。
衛生委員会に必須の資格
常時50人以上の労働者を使用する事業場では、労使が一体となって行う「衛生委員会」の設置が義務付けられており、衛生管理者を必ず選任しなければならないとされています。
そのため、衛生委員会に入って仕事をしたいと考えている方は、資格の取得を検討するのがオススメです。
衛生管理者の取得難易度
衛生管理者には「第一種衛生管理者」「第二種衛生管理者」の2種類があります。
第一種生成管理者の方が試験範囲が広い分、合格率が低く40%前後、第二種は50%前後の合格率となっています。50時間~100時間程度の学習で合格圏内になれるため、比較的取得が容易な試験といえます。
また、受験センターによっては毎月のように試験を開催しているので、万が一不合格でもすぐに再挑戦をすることが可能です。
資格取得に必要な費用
衛生管理者の資格取得に必要な費用は、受験手数料の6,800円のみとなっています。
費用面もかなり安価に抑えられる上、独学でも合格を狙える資格なので、「時間はあまりとれないけど資格を取ってスキルアップしたい」と考える方が最初に取得する資格としてオススメです。
社会保険労務士(社労士)
社会保険労務士は言わずと知れた「労務のプロ」の資格です。社会保険や労働関係法令等の専門家で、雇用保険や社会保険、労働問題専門の唯一の国家資格となっています。
社会保険労務士は人事部門で労務関連の仕事を行っている方に特にオススメで、資格取得の課程で労務の豊富な法律知識を得ることが出来るので、社内でもプロフェッショナルとして重宝されるハズです。
また、社労士資格を持っていれば転職にも有利になるうえ、独立開業を行うことも可能です。
社会保険労務士の取得難易度
結論をお伝えすると、社会保険労務士の資格取得難易度はかなり高いです。学習時間は500~1,000時間必要といわれており、合格率は6~8%を推移しており、常に合格率10%以下の超難関資格です。
試験範囲が広いうえに各科目ごとに合格基準が細かく設定されており、独学での資格合格は極めて困難だと言えます。
資格取得に必要な費用
受験費用は15,000円(2021年3月改定)となっており、試験を受けるために必要な費用はそれほど高くありません。
しかし、独学で合格を目指すのが難しい資格となっているため、予備校やオンライン講座を受講をするのがオススメです。予備校に通学で通うとなると20~30万円はかかってしまいますが、オンライン講座哉通信講座のみであれば5~10万円程度に抑えられます。
また、動画の学習教材を扱っている通信講座であれば、いつでも時間を選ばずに勉強が出来るのでオススメです。
メンタルヘルス・マネジメント検定
メンタルヘルス・マネジメント検定は大阪商工会議所が主催している公的資格で、多くの企業が注目している資格です。
メンタルヘルスを良好に保つための知識や考え方を習得することが出来る資格で、Ⅰ種・Ⅱ種・Ⅲ種の3種類があり、それぞれ「マスターコース」「ラインコース」「セルフケアコース」のレベル分けがされています。
3つのコースを解説
前述したように、メンタルヘルスケア・マネジメント検定は「マスターコース」「ラインコース」「セルフケアコース」の3つのコースがあります。それぞれの推奨されている受験対象とコースの目的を下記に比較を記載いたします。
コース | 対象 | 目的 |
Ⅰ種 | 人事労務管理スタッフ 経営幹部 | 社内のメンタルヘルスマネジメントの対策 |
Ⅱ種 | 管理職 | 自らの所属する部門内でのメンタルヘルス対策の推進 |
Ⅲ種 | 一般社員 | 組織における従業員自らのメンタルヘルス対策の推進 |
上記の様に各コース毎に目的が違っており、そのため、求められる知識も変わってきますが、共通するのは「メンタルヘルス対策の推進」を目的とする点です。「誰の」メンタルヘルス対策をするのかという点でコースが変わってきますので、自身にあっているコースを選びましょう。
人事関連の仕事をしている方であればⅠ種のマスターコースかⅡ種のラインケアコースで合格を目指すのがオススメです。
メンタルヘルスマネジメント検定の取得難易度と費用
メンタルヘルスマネジメント検定は受けるコースによって難易度が違っており、それぞれ以下のようになっています。
上記を見れば分かるように、Ⅰ種は合格率が約20%と難易度がやや高めですが、Ⅱ種は約50%、Ⅲ種は約70%となっており、Ⅰ種以外のコースは比較的合格しやすい資格となっています。
個人情報保護士
最後にオススメするのが「個人情報保護士」の資格です。個人情報保護士はその名の通り個人情報の適切な管理と運用を行う専門家です。
企業の人事部門に勤めている方も、人材紹介・人材派遣の会社に勤めている方も毎日大量の個人情報を扱って業務を行っていると思います。個人情報、特に求職者(応募者)の情報は漏洩事故などを起こせば企業ブランドに大きな傷がつき、その後の企業活動にも影響を及ぼします。
個人情報保護士の資格取得過程で得られる知識は、そういった漏洩事故を未然に防止し、セキュリティ体制も含めた適切な個人情報を扱う体制を構築するために役立ちます。
そのため、個人的には今最もオススメしたい資格です。
個人情報保護士の取得難易度
個人情報保護士の合格率は約37%となっています。
合格率だけを見ると難関の資格に思えますが、試験範囲は個人情報関連のみとなっているのでそこまで広くない上に、年に4回試験が実施されるため、不合格になってもすぐに再挑戦が可能です。
そのため、資格取得の難易度は比較的低めだと言えます。
資格取得にかかる費用
個人情報保護士の取得にかかる費用は、基本的に受験料の11,000円のみとなります。その他にもテキストの購入などをすればその分の費用が必要になりますが、基本的には独学で取得可能な資格となっています。
ただし、より効率よく試験合格を目指すならオンラインの講座を受講するのがオススメです。動画講座なら時間や場所を選ばず、隙間時間で学習できるので、効率よく試験勉強を行うことが可能です。
HR業界・人材業界で役立つ資格まとめ
本記事では「人事」「人材紹介・人材派遣会社」で働く方がスキルアップのためにおすすめの資格をご紹介させていただきました。
スキルアップは資格取得以外にも様々なものが考えられますが、資格は「知識の客観的な証明」となるため、自信に繋がるだけではなく、転職やステップアップを検討する際にも役立てることが出来ます。
「スキルアップをしたい!」と感じた際には、是非資格の取得を選択肢のひとつに考えていただけると嬉しいです。