人材紹介サービスのなかでも、近年大きく売り上げを伸ばしているのが、「介護人材」の紹介サービスです。
人材紹介サービスには企業によって様々な特徴が有りますが、近年増えているタイプとして「特定の職種」に特化した人材紹介を行う会社が増えています。
システムエンジニアやトラックドライバー等、様々な職種特化の人材紹介会社が有りますが、本記事では「介護人材」に特化した人材紹介の市場についてご紹介させていただきます。
介護業界の市場規模について
まず最初に、現状の介護業界そのものの市場について確認していきましょう。
2000年に介護保険制度がスタートして以降、介護業界市場は伸び続けており、厚生労働省によると、2020年度の介護費用(保険給付や自己負担含む)は10兆7783億円となっており、過去最大を更新しています。
介護保険制度が始まった翌年度の2001年度の介護費用4兆3000億円と比較すると、約2.5倍に市場が拡大しており、団塊の世代が75歳以上になる2025年度に給付費は15兆円規模まで膨らむ見通しとなっています。
日本の総人口は、令和元(2019)年10月1日時点で1億2617万人となっており、65歳以上人口は3,589万人となり、高齢化率28.4%となりました。
小子化に伴い、労働人口の減少とともに高齢化は進行しており、「団塊の世代」が75歳以上となる令和7(2025)年には65才以上人口は3,677万人に達すると見込まれています。
つまり、今後も高齢化率が上がり続けることに伴い、介護費用は膨らみ続け、介護業界の市場も拡大を続けることが見込まれます。
介護業界は本当に人材不足?
高齢化に伴い、介護業界の市場規模が拡大を続けていることは分かりましたが、介護の業界は本当に人材不足なのでしょうか?
結論として、介護業界は深刻な人材不足が続いています。
厚生労働省によれば、2025年には32万人の介護人材が不足(2019年比)すると推測されており、2040年には280万人の介護職員が必要になると言われています。(上図参照)
人材不足は介護業界だけではない
介護職に限らず、日本は人材不足が続いています。
2022年1月の全国求人倍率は1.2倍となっており、東京をはじめとした都市部はさらに求人倍率が高く、人手不足が数字として現れています。
参照:労働政策研究・研修機構「職業紹介-都道府県別有効求人倍率」
介護業界は他業界よりも人材不足
介護業界の人材不足は、日本の産業のなかでもとりわけ深刻です。
令和4年2月時点の「介護のサービスの職業」の求人倍率は3.55倍となっており、他産業と比較すると圧倒的に人材不足であることが数字から読み取れます。
介護職としての仕事は、プロフェッショナルとしての知識と技術を求められますが、給与は日本人の平均年収と比較すると低い傾向があり、人材不足の原因のひとつと言えます。
この「超人材不足」というニーズに応える形で、介護職特化の人材紹介サービスはその数を増やしてきたといえるでしょう。
介護職の人材紹介市場の推移について
それでは、介護職の人材紹介サービスは、どれだけの市場規模があるのか見ていきましょう。
上図は2015年度~2020年度の「介護のサービスの職業」における有料職業紹介の就職件数と手数料の推移を表しています。(オレンジ線が有料紹介の就職件数、グレー線が手数料)
これをみると2015年以降、介護人材紹介の市場は右肩上がりに伸び続けていることが分かります。
また、コロナ禍の影響で求人需要が低下した2020年度は、就職件数は前年と比較すると低下したものの、手数料は右肩上がりのままとなっており、根本的な人材紹介のニーズは衰えていないと推測されます。
介護人材紹介市場まとめ
今後も少子高齢化が進むことで、介護職にニーズは伸び続けることが予想されており、結果的に介護人材紹介のニーズもまだまだ衰えないと思われます。
しかし、介護職に特化した人材紹介会社は既に多数存在しており、その上、数社の大手人材紹介会社がシェアの大半を占めているのが現状です。
そのため、新規参入や既に介護人材紹介に進出している場合でも、明確な強みがなければ生き残っていくことは困難です。
今後、介護職に特化した人材紹介を行うことを検討している方は、是非「業界に求められていることはなにか?」を考えた上で、強みを作っていただけると幸いです。
個人的には、エージェントがキャリアコンサルタント資格を持っている人材紹介会社は強いと思っております。(下記関連記事)