介護福祉士と聞くと、どんなイメージを持つでしょうか?ベテラン介護職のイメージや、もしくは資格を持っている分、収入が多い印象でしょうか。
本記事では、介護福祉士の資格取得難易度や年収、掘り出し物求人の見つけ方等を解説していきます。
介護福祉士とはどんな資格?
介護福祉士とは、介護職の資格の中で唯一の国家資格で名称独占資格です。社会福祉士、精神保健福祉士と並び、「福祉系三大国家資格(三福祉士)」と呼ぶこともあります。
資格取得者は、「介護福祉士」の名称を用いて、専門的知識・技術を持って介護業務にあたります。また、職場となる介護施設によっては、ほかの介護職員のリーダー的存在として助言や指導を行うこともあります。
雇用を行う介護施設側の視点で見ると、介護職員の介護福祉士率が加算の条件になる場合も多いので、職員には出来るだけ国家資格を取って欲しいと考えている施設が多いです。
介護福祉士の登録者は181万人
介護福祉士の登録者数は「社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)」において国家資格となって以降、右肩上がりで増え続けています。
令和3年9月末時点では、181万3,112人が介護福祉士として登録されており、高齢化社会における介護職の需要増加に伴い、今後も増え続けることが予想されます。
介護福祉士の資格取得のメリット
介護福祉士の資格取得をするメリットの一つとして、「年収・収入のアップ」があります。介護福祉士の資格を取得することで「資格手当」が出る施設も多く、中にはリーダー業務を行う要件の一つとして設定している介護施設もあります。
また、介護福祉士の資格を持っていると転職活動でも大いに有利に立つことが可能です。国家資格である介護福祉士は、施設に一定の割合以上所属していることが加算の条件になります。そのため、どこの介護施設でもどうせなら介護福祉士資格を持っている方を採用したいと考えています。
そのため、介護福祉士を取得していれば、転職活動の際に年収の交渉などを有利に進めることも可能になります。
介護福祉士の資格取得方法
介護福祉士の資格を取得するには、年に1回の「介護福祉士試験」に合格する必要があります。介護福祉士試験は毎年1月に筆記試験、3月に実技試験となります。
また、介護福祉士の受験は誰でも出来るわけでは無く、資格取得ルートは下記の4つがあります。
上記4つの介護福祉士の資格取得ルートについて解説していきます。
実務経験ルートの受験資格
介護福祉士を取得するためのルートで、もっともメジャーなのが「実務経験ルート」です。この資格取得ルートでは、「3年以上の実務経験」と「実務者研修の資格取得」の2つの条件を満たすことで介護福祉士試験の受験が可能になります。
3年以上の実務経験について
「3年以上の実務経験」は、ただ3年間在籍すればOKではなく、以下の条件があります。
また、上記の従業期間・従事日数は「試験実施年度の3月31日」まで通算することが出来ます。そのため、受験申し込み時に「3年以上の実務経験」を満たしていなくても、試験を実施する年度の3月31日までに従業期間・従事日数が上記の日数以上となる見込みの場合は、「実務経験見込み」として受験することが可能です。
自身の経験が複数の機関に分かれている場合など、気計算が必要な場合は社会福祉振興・試験センターの「従業機関計算表」を利用するとすぐに計算できるのでオススメです。
実務経験の範囲(介護等の業務)について
実務経験とは、以下を満たす必要があります。
「身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引等を含みます)を行ない、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行なうこと」をいい、厚生労働省がその範囲を定めています。
参照:社会福祉振興・試験センター
通常の介護施設で勤める介護職であれば、たいていの場合は上記に該当しますが、自身の経験が受験資格に該当するか否か不安な方は試験センターで確認を行うのが確実です。
実務者研修の資格について
実務者研修とは、介護職員が「初任者研修」の次に取得するステップアップの資格で、旧ホームヘルパー1級に相当する資格になります。
資格取得を通して、実務経験だけでは習得が難しい知識や技術を得ることが可能な資格となっています。
介護福祉士試験前の12月までに取得する必要がある
実務者研修は「実務経験ルート」で介護福祉士を取得するために必須となる資格ですが、試験を受ける年度の12月月末までに修了している必要があります。例えば、2023年1月に介護福祉士の筆記試験を受ける場合には、2022年12月には実務者研修を修了する必要があります。
実務者研修を受けられるスクールは地域によっては多数の選択肢がありますが、修了が間に合わないと試験そのものが受けられなくなるので、修了予定日をしっかりと確認して受講に進みましょう。
養成施設ルートの受験資格
「養成施設ルート」は、介護福祉士養成施設を卒業して受験資格を得るルートです。
養成施設とは、文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校または都道府県知事の指定した施設のことで、介護福祉士養成施設の卒業者は、「介護福祉士として必要な知識と技能を修めて卒業した方」とみなされます。
そのため、「養成施設ルート」で介護福祉士試験を受験する場合、実技試験は免除されます。
福祉系高校ルートの受験資格
「福祉系高校ルート」はその名の通り、福祉系高等学校を卒業した方が対象になります。福祉系学校を卒業した方とは、「学校教育法による高等学校または中等教育学校において、社会福祉士介護福祉士学校指定規則別表第5に定める教科目・単位数を修めて卒業した方」のことを指します。
また、2009年以降に福祉系高等学校に入学した新カリキュラムを修了した方は実技試験が免除となります。
2008年以前の入学者で、新カリキュラムを納めていない方や特例高等学校を卒業した方は、「介護技術講習」を受講すれば実技試験は免除となるため、チェックがが必要です。(受験申込時に実技免除となるか、実技試験を受けるか選択可能)
経済連携協定(EPA)ルートの受験資格
「経済連携協定(EPA)ルート」は、EPA介護福祉士候補者のための介護福祉士受験の資格です。
EPA介護福祉士候補とは、公益社団法人国際厚生事業団が紹介した受入機関と締結した雇用契約に明示された受入施設において、研修責任者の監督の下で日本の介護福祉士資格を取得することを目的とした研修を受けながら働いているンドネシア人、フィリピン人及びベトナム人のことを指しています。
介護福祉士の難易度と合格率推移は?
介護福祉士の資格試験は難しいのでしょうか?結論からお伝えすると、介護福祉士の試験は難しくありません。ここでは、これまでの介護福祉士試験の合格率推移と難易度を解説していきます。
介護福祉士の試験は難しくない!?合格率は70%前後
介護福祉士の国家資格試験としての難易度は、決して高くありません。第34回介護福祉士国家試験は合格率72.3%(受験者数83,032人に対し合格者数60,099人)となっており、受験者の半分以上が合格するという結果になっています。
受験者の約7割が合格する国家資格と考えると、決して難易度は高くありません。ですが、受験のために実務者研修の取得や3年以上の実務経験が必要なことを加味すると、誰でも取れる資格というわけではありません。
ですが、合格率を見ると、既に介護の現場でバリバリ活躍している方々にとっては、決して難しい試験ではないと言えます。
介護福祉士の合格率推移を解説
それでは、介護福祉士の国家試験における合格率は、これまでどのような推移をしているのでしょうか。
上記は介護福祉士圏の第1回から第34回までの受験者数・合格者数の推移と合格率の推移を表にしたものです。
これを見ると、介護福祉士試験が開始された当初は50%前後だった合格率が、この5年間は約70%の合格率で推移していることが分かります。
このことから、介護福祉士試験の難易度は決して高くないと言えます。
介護福祉士試験の合格ライン
介護福祉士の筆記試験は125点満点の試験です。このうち、75点以上の得点(正答率60%の得点)をとることが、介護福祉士試験の合格ラインとなります。
11科目群で0点が一つでもあると不合格
科目群 | 問題数 |
---|---|
人間の尊厳と自立(2問)/介護の基本(10問) | 計12問 |
人間関係とコミュニケーション(2問)・コミュニケーション技術(8問) | 計10問 |
社会の理解 | 12問 |
生活支援技術 | 26問 |
介護過程 | 8問 |
発達と老化の理解 | 8問 |
認知症の理解 | 10問 |
障害の理解 | 10問 |
こころとからだのしくみ | 12問 |
医療的ケア | 5問 |
総合問題 | 12問 |
問題は11の科目群に分かれており、「すべての科目で得点がある」ことも合格のための条件となります。そのため、1科目でも0点をとると、総得点が75点を超えていたも不合格になるため、注意が必要です。
介護福祉士試験の難易度補正について
原則としては「60%の得点率で合格」となる介護福祉士試験ですが、難易度に合わせて合格ラインに補正が入ることもあります。この補正は60%の基準に対して上がることもあれば下がることもあるため、注意が必要です。
例えば、第34回試験では難易度に合わせて「正答率62.4%が合格基準」となる補正が入りました。
そのため、60%ぴったりの得点率だと不合格になる可能性があるため、過去問などで対策を行う際はなるべく余裕を持った得点を狙えるように学習をするのがオススメです。
介護福祉士の収入について
2021年に行われた「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」によると、介護福祉士の平均月給は334,510円という結果になりました。
勤続年数 | 令和3年9月 |
---|---|
全 体 【平均勤続年数 :9.5年】 | 334,510円 |
1年~4年 | 312,100円 |
5年~9年 | 325,000円 |
10年以上 | 355,010円 |
この介護福祉士の年収は年々高くなっており、要因としては、介護施設の介護職員処遇改善加算の取得率が上がっているためです。そのため、介護福祉士に限らず介護職員全体の平均給与は情報傾向となっています。
介護福祉士の年収交渉と仕事の探し方
介護福祉士は介護職で唯一の国家資格で、介護施設では職員の介護福祉士率が加算の条件になる場合もあります。つまり、介護福祉士を雇うことが施設にもメリットが大きいため、介護福祉士資格を持っていると格段に給与の交渉に有利になります。
介護福祉士の資格を取れば、現在の施設で資格手当がアップするという方がほとんどだと思いますが、ステップアップや収入アップのために、介護福祉士資格の取得とともに転職活動を行う方も多くいます。
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