日本語教師の年収を徹底解説!収入が良い勤務先は?キャリアアップの方法やフリーランスとして活躍する方法も紹介!

日本語教師年収イメージ 日本語教師

労働力人口が減り続ける日本では、労働のほか学習や移住等の様々な目的で来日する海外の方が増えてきています。外国人の方が日本で安全に生きていくために、「語学の習得」は欠かせません。そのため、国として日本語学習のための環境を整える動きが活発化しています。

このような状況の中で、日本の言葉や考え方、文化などを伝える「日本語教師」という仕事に関心を持ち始める方が多くなっています。

日本語教師は非常にやりがいのある職業ですが、仕事である以上は仕事のやりがいや内容だけでなく、「生活の糧を稼ぐ」という側面もあり、お給料や就業時間などの労働環境も、重要なポイントとなります。

そこで、日本語教師の職に就いた場合、どの位の給与がもらえるのか、どの程度の労働時間なのか、どのようなキャリアアップが考えられるかなど、働く上で気になるポイントをご案内していきます。

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日本語教師の平均月収および年収

収入イメージ

さて、現職の日本語教師の方はどの程度の収入を得ているのでしょうか。

結論をお伝えすると、常勤の日本語教師の年収は200万円~500万円まで幅広く、どういう機関に勤務するかでかなり収入が左右される職種となっています。

ここからは、文化庁の「令和2年度日本語教師の資格創設に係る状況調査 結果概要」をもとに確認していきます。

常勤の日本語教師の年収について

日本語教師の収入は、他の職業と同様に「常勤」「非常勤」という働き方が平均年収に与える影響が大きいというデータがあります。

まずは、常勤の日本語教師の収入からみていきましょう。

常勤日本語教師の勤務先別年収

「常勤」日本語教師の年収別分布状況(%)100万円 未満  100万円 ~200万 円未満200万円 ~300万 円未満300万円 ~400万 円未満400万円 ~500万 円未満500万円 ~600万 円未満600万円 ~700万 円未満700万円 ~800万 円未満  800万円 ~900万 円未満900万円 ~1000万円 未満1000万円 以上
全体1.22.121.336.815.46.73.23.53.02.44.4
大学等1.60.11.48.610.413.38.812.512.610.520.0
法務省告示校0.31.326.746.3168.4.91.51.10.40.40.5
専修学校・各種学校2.13.125.539.914.36.34.22.11.00.31.0
地域日本語教室14.46.319.833.38.112.64.500.900
その他の 日本語教育機関6.46.923.435.319.84.11.01.90.20.50.5
不明0.71.432.434.516.23.42.72.74.10.71.4
参照:文化庁「令和2年度日本語教師の資格創設に係る状況調査 結果概要」

こちらをみると、最も多い収入帯は「300~400万円未満」、次いで多いのが「200~300万円未満」であり、常勤の年収平均のボリュームゾーンとなっています。

勤務先別にみてみると、特徴的なのが「大学等」です。全体の9割以上が「300万円以上」であり、その内訳をみても、ほかの勤務先ではほとんど存在しない、もしくはかなり少ない「600万円以上」が全体の6割を超え、「1000万以上」も2割存在しています。このことから、最も高い給与となりやすい勤務先は「大学等」といえるでしょう。

大学勤務の日本語教師の収入はなぜ高い?

「大学等」が研究機関としての役割も備えているため、就職する方の大半が修士号・博士号などを所持しており、日本語教師としての授業のほか、研究職に就いているケースが多いことや、教わる側の生徒も生活のためだけではなく、学習・研究のための語学習得を目的としているため、学費が他の機関に比べて高額であることなどが理由として考えられます。

「大学等」を除く勤務先は、全て「400万円未満」が7割を超えています。特に「地域日本語教室」は「100万円未満」が14.4%と、他の勤務先に比べ、突出して高い割合であることが分かります。これは、「地域日本語教室」は国の基準に則って設立されるものではなく、「法務省告示校」「専修学校・各種学校」などと比べ運営に縛りが少なく、授業時間が少なかったり、授業料が安いこともあるためだと思われます。

どちらが良い・悪いというわけではなく、教える側・教わる側の目的やニーズによって組織の運営方法や授業内容が違うことにより、日本語教師の年収も変わってくる、ということです。

常勤日本語教師の実働労働時間

年収の次は、労働時間についてみていきましょう。

「常勤」日本語教師の 実労働時間 分布状況(%)週5時間 未満週5~ 10 時間未満週10~20 時間未満週20~30 時間未満週30~40 時間未満週40~50 時間未満週50~60 時間未満週60時間以上
全体4.64.910.25.827.241.73.71.8
大学等10.811.214.54.931.220.12.05.4
法務省告示校1.32.38.15.624.951.65.11.1
専修学校・各種学校3.12.410.25.527.050.50.31.0
地域日本語教室24.63.65.18.045.712.30.70
その他の 日本語教育機関7.710.516.69.124.528.73.00
不明0.62.66.56.532.949.71.30
参照:文化庁「令和2年度日本語教師の資格創設に係る状況調査 結果概要」

全体平均としては、「週40~50時間未満」が95%を超えています。常勤の所定労働時間として「週5日8時間労働=週40時間」が一般的なので、殆どの就職先で、労働時間はその範囲で収まっているようです。

特に「法務省告示校」「専修学校・各種学校」は「週40~50時間未満」が5割を超えており、一般的な労働時間である職員が多いと考えらえます。「地域日本語教室」は「週40時間未満」が全体の8割を超えており、「週5時間未満」が全体の4分の1近くであることから、年収が少ない分、労働時間も短くなる傾向があるようです。

コチラはあくまで勤務先別に見た勤務時間のデータとなりますので、この情報を踏まえて自分自身にあっている働き方を考えていきましょう!   

常勤日本語教師の勤続年数

年収・勤務時間を把握したところで、日本語教師が長く続けられる仕事なのかどうかの指標となる、勤続年数をみていきましょう。

「常勤」日本語教師の 勤続年数分布状況 (%)1年未満1~3年 未満3~5年 未満5~10年 未満10~15年 未満15~20年 未満20年以上
全体10.326.518.317.211.46.69.7
大学等9.815.613.516.814.79.120.5
法務省告示校11.029.920.417.210.05.46.2
専修学校・各種学校11.622.925.316.710.67.25.8
地域日本語教室13.825.416.722.55.85.110.9
その他の 日本語教育機関7.629.112.817.814.28.89.7
不明2.637.517.113.811.88.68.6
参照:文化庁「令和2年度日本語教師の資格創設に係る状況調査 結果概要」

全体平均で「5年未満」が5割を超えており、一般的に考えるとやや短いように感じます。

ここでも特徴的なのは「大学等」で、「20年以上」が20.5%と他の勤務先に比べて多く、5年以上働いている方が全体の6割を超えています。

日本語研究など強い目的意識を持って就職している方が多いこと、専門職として認められており、年収・労働時間など、長期間にわたり就業しやすい労働環境が整えられていることなどが要因として考えられます。

非常勤の日本語教師の年収について

これまで常勤の勤務環境についてみてきましたが、日本語教師全体としては、常勤よりも非常勤として働いている方が多いとされているのが現状です。

そこでここからは、非常勤の方の勤務環境についてみていきましょう。

非常勤日本語教師の勤務先別給与形態

非常勤の場合、勤務時間が一律ではないことが殆どであるため、まずは給与形態をみていきましょう。

「非常勤」日本語教師の  給与形態分布状況 (%)月給制 (基本給+手当)年俸制時給制授業コマ数 (授業回数×単価)その他
全体7.71.738.538.913.2
大学等14.92.439.235.38.2
法務省告示校4.51.730.855.97.0
専修学校・各種学校4.91.244.440.78.6
地域日本語教室3.82.246.223.124.7
その他の 日本語教育機関5.3039.528.926.3
不明14.639.039.039.00
参照:文化庁「令和2年度日本語教師の資格創設に係る状況調査 結果概要」

全体として最も多いのが「授業コマ数(38.9%)」、次いで多いのが「時給制(38.5%)」となっています。

基本的に、非常勤の講師に求められるのは授業そのもののみであることが多く、授業コマ数や勤務時間がそれに直結しているため、このような給与形態をとっているものと思われます。

これらの給与形態は授業を実施したことに対する支払となるため、大学等の場合、夏期休暇であれば授業がない(もしくは少ない)ため、基本的に給与は減ってしまします。

また、コロナ禍などの不測の事態で休校となった場合、給与保証されるかどうかは、その機関の経営方針や考え方に左右される不確定な要素となります。

非常勤日本語教師の勤務先別時給単価

続いて、1時間あたりの時給をみていきます。

「非常勤」日本語教師の  1時間当たり単価(%)1000円未満1000~ 2000円未満2000~3000円未満3000~ 4000円未満4000~ 5000円未満5000円以上
全体4.529.737.011.84.012.9
大学等1.23.57.215.572.60
法務省告示校01.934.459.53.70.5
専修学校・各種学校0042.047.28.82.1
地域日本語教室18.536.631.54.56.72.2
その他の 日本語教育機関1.427.224.246.60.60
不明9.367.817.83.41.70
参照:文化庁「令和2年度日本語教師の資格創設に係る状況調査 結果概要」

全体としては「2000~3000円未満」が最も高く、次いで多いのが「1000~2000円未満」です。

ここでも目立つのは「大学等」で、3000円以上の割合が7割を超えます。理由については、大学の場合、非常勤であっても修士・博士号の所持者が多く、専門職としてのスキルが求められているからだと思われます。

副業としての日本語教師

非常勤で働く日本語教師の中には副業として勤務する人が近年増えてきており、「本業勤務後の夜間帯」や「会社の休日」に日本語学校で働いている人も多いようです。

日本語学校によってはオンラインで授業を行うスクールもあるので、日本語教師という働き方は副業としてもオススメの職業のひとつといえます。

日本語教師の福利厚生

日本語教師として働く場合、常勤として採用されれば有給休暇・社会保険・退職金制度など、ある程度の福利厚生は整備されていることが多いようです。

しかし、非常勤の場合はこれらの制度が整っていないことがあるため、就職する前に条件を確認しておいた方が良いでしょう。

また、日本語教師独自の福利厚生を考えるうえで重要なのが「日本語教育能力検定試験」です。この試験に受かっていれば、資格手当が出る可能性があります。

また、学校によってはキャリアアップに必要な資格敏江t指定されていることもあるので、日本語教師を目指す過程で確実に取得しましょう。

日本語教師としてキャリアアップする方法

これまでみてきたように、日本語教師という職業は就職した時点から高収入が望めるものではなく、経験を積み、能力を認められることでキャリアアップを目指していく職業といえるでしょう。

ここからは、日本語教師となった後にどのようなコースが考えられるのか、みていきましょう。

主任講師

ある程度の規模の学校であれば、講師が複数在籍しています。主任講師は、これら講師のリーダー的なポジションといえるでしょう。

日本語学校設立において主任講師は必須条件であり、主任講師を設けないと学校が設立できません。実際の学校運営の上でも、日本語学校の要といえるでしょう。

主任講師の役割

主任講師のポジションについた場合、現場ではどのような役割を担当しているのでしょうか。

自身が講師として授業を行うほか、それぞれ個性が違うであろう専任講師のまとめ役として、学校の方針を考え、全体を取り仕切っていく必要があります。また、日本語学校の要である、カリキュラムの作成も重要な仕事です。

このように重要な責務を担うことから、どんなに優秀な能力をもっていたとしても、初めから主任講師に就くことはできません。

主任講師になるための要件

主任講師に関しては法務省による要件が設けられており、「告示校などの認可された機関で」「常勤として」「3年以上の実務経験を積んでいる」必要があります。

「常勤であること」は、一定以上の日数・時間に就業することで、授業を行うだけでなく、学校運営にまつわるさまざまな業務を遂行する力や、校長はじめ他の講師・生徒との関係性を結ぶ力などを磨くことになり、これらのスキルを求められているものと思われます。

「3年」という数字は、専任講師としての業務に習熟するまでの時間と考えられます。これらの経験を経た上で、他の講師を引っ張っていけるスキルが身に付くとみられているのでしょう。

これを証明するためには自己申告ではなく、勤め先から就業年数などに関する証明書を書いてもらう等の必要があります。

専任講師

主任講師には授業の能力に加え、管理職としてのマネジメントスキルや、対外との折衝能力も必要になるでしょう。

これらには向き不向きがありますので、「まとめ役」のようなポジションを望まない場合、専任講師として授業の腕を磨き、従業スキル生徒の集客能力に繋がることで、学校にとって必要な人材となる方向性も考えられます。

学校の規模や考え方、経営状況にもよりますが、替えのきかないスキルを持っていると雇用主に認められれば、主任講師に就かなくとも、給与を上げてもらえる可能性があります。

日本語教師として海外で働く

日本語教師イメージ

日本語教師の方は、外国の方と交流すること・日本の言語や文化を伝えることに強い関心を持っているため、「いずれ海外で働きたい」という夢を持っている方もいるのではないでしょうか。

日本国内で、日本語教師として告示校で働く場合、いくつかの要件を満たす必要がありますが、海外で働く場合は「就労ビザを取ることができるかどうか」が大きな関門であり、他の要件についてはこの限りではありません。

ただし、教育という仕事内容から考えると、たとえ国が違っても「日本語教育能力試験に合格している」「日本で日本語教師として働いていた」など、何かしらの証明が必要になるケースが殆どであり、また、そのように実力を証明できる材料が多いほど、よりよい条件の職場で働くチャンスも増えるでしょう。

需要が高いのはアジア圏

日本語教師はアジア圏の発展途上国に需要があります。なぜなら、欧米などの先進国には既に日本語が話せる在住者が多く、結果的に就職口が多いのはアジアなど比較的発展途上とみられる国が多いようです。

大学で働くか、個人の学校で働くかなど、どの機関で働くかによって給与水準は大きく違ってくるのですが、物価が安い国の場合、高い給与を期待するのは難しいかもしれません。

また、治安面での不安や、インフラや医療体制が整っていないなど、日常生活を送るうえで不便なことも多いかもしれません。

日本語教師はフリーランスとしても活躍可能!

インターネットが発達した今では、必ずしも企業や団体に所属する必要はありません。

フリーランスや副業として日本語教師として活躍している方も多く、近年ではオンラインで日本語を教える方も増えてきています。

オンラインレッスンであれば仕事や家事の合間に行うことも可能なため、拘束時間がなく、全てを自分で決められるメリットがあります。

その反面、軌道に乗せるまでには時間がかかり、トラブルが発生した場合は全て自分で対応することになるため、ある程度日本語教師としての経験を積んだ方にとっての選択肢となるでしょう。

日本語教師の年収についてまとめ

日本語教師の給与や労働環境についてみてきましたが、いかがでしたでしょうか。

日本語教師という仕事は教員としての業務に加え、さまざまな目的を持つ方が多い職種であり、それぞれが属する組織や立場によって、収入が大きく変わる職業といえるでしょう。

日本語研究のエキスパートを目指したい・安定した収入を得ながら教員として長く働きたいという場合は、大学の専門課程で修士・博士の資格を得たり、日本語教育能力試験に合格する等の実力をつけた上で、告示校や大学などの機関に就職する必要があるでしょう。

現在はオンラインレッスンで日本語を教えるという方法も普及しつつありますので、自分自身に合った働き方を選ぶことのできる職業といえます。

自身の目的、経済状況などを考えたうえで、最善の選択肢を検討してみましょう!

この記事の筆者
キャリアコンサルタント
パオ助

介護業界専門の転職エージェントで両面型担当者として勤務後、今はマーケティングとキャリアコンサルタントを両立中。
キャリアコンサルタントとして、人材業界や介護業界についての情報を発信中!転職エージェントや人材派遣会社で勤めている方々全員に「キャリアコンサルタント」の資格を取得してもらうのが夢。
資格取得の難易度や、おすすめのキャリアコンサルタント養成講座の情報等を発信していきます!
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【保持資格】
・独学で国家資格キャリアコンサルタント1発合格!
・2級キャリアコンサルティング技能士も独学で合格。
・その他保持資格:衛生管理者、個人情報保護士
 
【好きなカウンセリング技法】
・来談者中心カウンセリング
(パーソンセンタード・アプローチ)
 
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